2008年04月28日

某遺跡発掘42 ……失敗

 現状怪しいところを掘ってみた。

 まず深層用金属探知機で怪しいところを掘ってみて、失敗した。この探知機は四方八方からの金属反応を深い位置から受けてしまう。そのため、穴の中では調節が上手くいかない。思ってもいない単なる岩の形を機器の横から受けて、もっともらしい反応をしていただけだった。(地面上はミネラルの影響を受けてもっと上手くいかない。)

 いろいろと試みてみて、金属探知機は全く頼れなさそうだと分かると、自身の能力を修正して行ってみた。誤差は1m未満のはずだったのだが……。最後に曲がった箇所の、一歩二歩と手前の位置である。

 先日、デイハイカーが珍しく麓にやってきた。昔からある霊が浮かれて、デイハイカー、デイハイカーと、繰り返し意味ありげに言っていた。その日にちょうど、前述の場所を綺麗に掘りきれる予定だった。当時は、それは私の装いかと思った程度で、実際に何のことかは分からなかったが、デイハイカーが本当に来たその日は、それはこの発掘行為もそろそろ終わることを示す、暗号だったのだろうと思えた。

 それでも、やはり何も出なかった。そこに金属探知機を当ててみても、もっともらしい反応も何も出なかった。そんなはずは無いと、諦めきれずに色々と試みはしてみたのだが、地面の成分以外に、怪しげな金属反応は消失してしまった。自身の力も頼りない。現場はあまりにもきれいに石が組まれていて、これ以上無駄に破壊するのも惜しい。

 考えてみれば、私が扉を発見できるならば、遺跡を壊さないように、霊が場所を素直に教えてもよいと思った。それが無いということは、未来の私は掘れないで観念したと思った。気のせいでも、扉は一階分下の方にあるような気もする。掘るのは大変だ。正直に人に頼って良い子になろう。そう思うと、急に諦めがついた。自首することに決めて、洞窟と化した内部の映像を撮った。


 遺跡についての事実上妄想(空想)を記したレポートなども一応整えて、選んだ先は某県立の博物館。緊張しながら、そこにいた学芸員の方に、相談と言って話しかけてみた。

 なるべく、詳細は明かさずに済ませたかった。百聞は一見に如かずと、映像をまず見てくれと頼んでみた。これで食いついてくれば、場所など詳細を明かすことにしていた。名乗らず、失礼な話だが、仕方がない。

 映像をPCに入れて、準備をしながら、とりあえず、まず他人の庭を掘るようなことはいけないと、分かりきったことをぶつぶつと何度も繰り返し言われた。そんなことは私も分かっていたから、その旨とともに申し訳ないと言い、何度か自首しに来ました、白状しに来ました、などと言いいながら、心持頭を下げた。

 学芸員から、我々がいつも一番困ることは、遺跡が(建築などで)発見されたとき、素人が現場を荒らしてしまってからでは、きちんとした調査が出来なくなることである……、とか何とか言われる。

 結果としては、特殊な石の形だけでは、「何とも言えない」と言うことだった。「物は何も見つかっていないのだろう?」と横から入って、私は「はい」と返事をした。

 残念ながら、実際としては金・銀・銅製品や土器など、物が実際に見つからなければ話にならないようである。それが見つかってから判断したのでは、どこの現場でも必然的に荒れているはずだと思うのだが……、言っても仕方がなさそうだった。単なる土や石の形だけでは、あえて何を動かす気も出ないらしい。他にもたくさん遺跡があるから、忙しいから無理ないといえば、無いのかもしれない。

 それでこれを我々に見てもらって、どうしたいんだと言われて、私は何事もなければ犯罪なので何日かかっても埋めますが、もしも興味があれば場所などを教えるので調査して欲しい、掘って欲しいと答えた。すると彼は、県は遺跡を管理しているだけなので云々、もし、どうしてもと言うのならば、市町村の教育委員会へ……、と言って、何事もなく終わってしまった。怪しい人が、怪しい情報を持って来たまま、何事もなく済んだことだけは幸運だった。

 残念というか、壁画の黴を何年も見過ごして駄目にした日本人の性質から予測されるような、あまりにも予想通りすぎるパターンの展開だった。事実としてその専門家からは、人為的に見えそうな壁を見てその可能性を肯定しても、冷静に振舞い、所属する分野としての好奇心や、職務意識のようなものを、たいして沸かせた様子が感じられなかった。その形は今までの日本の遺跡には無いものであるからして、専門家にとっては存在しえないものとなるから、偶然の可能性が高く、気にする必要がないとしているような気がする。専門家は古代日本の世界観を良く知りすぎて、知識が囚われているような気がする。それではこの遺跡が、ピラミッドよりも凄いものだと言っても、仕方が無いだろう。(博物館の学芸員は、普段から色々と何かを見れば遺跡遺跡と報告する、素人の厄介者に困っていそうな感じはして、それには同情するが……。)これは駄目だと、早々に退散させてもらった。

 今の私は、彼が語るとおり、市の教育委員会に行きたいところだが、無断ということもあって、恐らく悪い結果になる可能性のほうが高いと思ってしまう。博物館の学芸員も教育委員会の専門家も同じ畑に違いなく、教育委員会のほうがより道徳的に違いない。その職業意識と矜持は、その人物を怒らせて何事も無く済ませて終わらせそうである。伸るか反るかの大賭けは、まだ慎みたい気分である。

 私は何にせよ、そのすばらしいと思える遺跡の中を見たいのである。とりあえず、また現場に行ってみようと思う。






***



 少し飛ぶが、異星とは時空が絡み合っている。

 情報によると、遺跡の入り口が見つかるにせよ、見つからないにせよ、そろそろこの発掘は終わりの運命を辿るはずだと思っている。それなのに上手くいかない。なぜ終わらないのだろうかと思う。(もっとも、デイハイカーは終わりの方という話で、そんなに早々に終わらない感覚は得ている。)

 自身の未来が見れると、つい頼りたくなってしまう。懸命さが失われる。だからあまり詳しく知りたくは無い。それでも一応は、自分が掘っているところは認められるはずなのだが……。




 ……あっと、考えていたら思い出した。そう言えば、学芸員の方に動画映像を見てもらったとき、実際に見たPCの動画ファイルは消してもらったけど、最初のなぜか不具合で見られなかったPCの方は、なぜか作業途中でロックがかかってしまって、動画ファイルを残したままだった。

 シナリオとしては、それを後でやって来た他の学芸員の人達が見て、興味と危機感を持ち、某所に連絡が行って、終わる可能性が考えられる。場所は県内としか話していないけれども……。

 あるいは、近日中に掘れるならば、今のところ頼りない超能力がとうとうしっかりして、鋼鉄の扉を包みこむ空洞や砂埋めの部分などが偶然掘れるか、どっちかだろう。どっちにしろ北京五輪までは行かないとは思う。

anzmore at 19:11|PermalinkTrackBack(0)clip!埋蔵物の発掘